中国展 華やかに祝賀懇親会

9月27日、福山ニューキャッスルホテルで中国展の入賞・入選祝賀懇親会が華やかに行われました。中国展は29日まで、広島県立ふくやま産業交流館「ビッグ・ローズ」で開かれています。

 

髙木聖雨審査部長のあいさつ

 

読売新聞社賞の皆さん

 

 

 

2019年9月28日(土)08:24

中国展_開幕

「関西展」に続き、「中国展」が9月27日、広島県立ふくやま産業交流館「ビッグ・ローズ」で開幕しました。29日までの開催です。

JR福山駅北口広場から会場まで、無料のシャトルバスが運行していますので、ぜひご利用ください。

 

2019年9月27日(金)10:00

遠山記念館で特別展「古筆招来 高野切・寸松庵色紙・石山切」

「公益財団法人 遠山記念館」(埼玉県比企郡川島町)で、平安~鎌倉の古筆を中心とする特別展「古筆招来  高野切・寸松庵色紙・石山切」が1020日まで開かれています。30年ぶりに展覧会での公開となる個人蔵の2点、「寸松庵色紙」(「山さとは」)と「石山切  伊勢集」(「しるらめや」)を含む書跡24点と、蒔絵調度や小袖など総計30点で構成しています。

 

「伝紀貫之 高野切 古今和歌集」3点の展示風景

 

美術館に入って左手の展示室には、まず古今和歌集「高野切」(第一種)巻一の3点を並べて展示。五島美術館蔵の巻頭(重要文化財、歌番号13遠山記念館蔵の2首(歌番号910出光美術館蔵の4首(重要文化財、歌番号4649 展示は929日まで)──3点を順番に追うことで、筆運びの変化が見て取れます。 913日に行われた報道内覧会で、久保木彰一学芸員は「巻物20巻の高野切は3人の能書家が書き分けているが、スタート部分は一番の書き手が担当した。は最適な緊張感をもってゆっくりスタートし、は少し緊張がほぐれたなという辺りで、では肩の力も抜け、どんどんスムーズに、リズムカルに書き進んでいる。見比べると、書き手の心の中まで覗くように鑑賞していただける」と解説しました。

 

  同じく古今和歌集を書いた「寸松庵色紙」も、「高野切」と同じく3点並べて展示。遠山記念館蔵の「むめのかを」(歌番号46五島美術館蔵の「あきはきの」(歌番号218個人蔵「山さとは」(歌番号214──のうち、30年ぶりに展覧会への出品が実現したというは唐紙の保存状態が良く、墨色がくっきりと鮮やかです。 また、①遠山記念館蔵「寸松庵色紙」に書かれた「むめのかを」の歌は、その右手に展示した出光美術館蔵の「高野切」にも書かれており、異なる能書家が書いた文字を比較することができます。「高野切」は巻子本に行書き、「寸松庵色紙」は粘葉装の冊子本に1ページずつ散らし書きと、それぞれの形式は異なるものの、久保木学芸員は使用した変体仮名や文字の大きさに共通性があり、2人の能書家が仮名に対して近い美意識を有していたことがうかがえると指摘しました。

 

  続いて展示するのは、「本願寺本三十六人家集」の「貫之集下」「伊勢集」の断簡「石山切」4点。藤原定信筆の「貫之集下」2点、伝藤原公任筆の「伊勢集」2点が並び、唐紙などに継紙技法を駆使し、金銀泥による下絵を施した華麗な料紙も見どころとなっています。  

「石山切」4点の展示風景

 

ロビーを挟んでもう一つの展示室(70㎡)には、遠山記念館が所蔵する藤原俊成、藤原定家(「明月記」断簡、「後撰集歌切」)など平安~鎌倉の古筆をはじめ、一休宗純の仮名消息(室町時代)などの書跡、重要文化財「秋野蒔絵手箱」(鎌倉時代)、江戸時代の蒔絵硯箱、文字入模様単衣・小袖などを展示しています。 

藤原定家の書跡(いずれも遠山記念館蔵)
右 : 後撰集歌切  鎌倉時代・13世紀 
左 : 記録切 明月記  鎌倉時代・建暦3年(1213年)10月

 

なお、展覧会図録には今回出品された「高野切」「寸松庵色紙」「石山切」の10点を原寸で掲載。それに遠山記念館の所蔵品から出品した古筆のうち6点を収録しています。

  

2019914()1020() 特別展「古筆招来  高野切・寸松庵色紙・石山切」 公益財団法人  遠山記念館(埼玉県比企郡川島町)

2019年9月24日(火)14:00

第104回 書教展

第104回 書教展

 

2019年9月19日(木)~9月26日(木) 東京都美術館

※最終日は午後1時閉会(入場は正午まで)

 

主催・公益社団法人 全日本書道教育協会

 

 

2019年9月24日(火)11:00

関西展終了_次は中国展

9月15日、「関西展」が終了し、5日間の累計入場者数は、8,550人でした。

 

多くのご来場、誠にありがとうございました。

 

次は、27日から中国展です。

 

2019年9月17日(火)17:32

関西展 祝賀会懇親会を開催

読売準大賞の7人が舞台に並び、一言ずつスピーチ

 

9月14日正午からホテルグランヴィア京都で関西展の入選・入賞祝賀懇親会が開かれました。

読売準大賞7人の皆さんをはじめとする入選・入賞者が紹介され、お祝いムードに包まれました。

 

井茂圭洞先生の挨拶

 

 

 

 

2019年9月15日(日)12:00

東京展ギャラリートーク⑫_最終回 和中簡堂先生

和中簡堂先生(篆刻) 91日、国立新美術館(東京展最終日)

執行役員以上の先生方の作品を中心に解説されました

 

和中先生は「この部屋(第一室)は日本の書道界のトップの先生方の作品が揃っており、今日の書壇で一時代を画するような作品ばかり」と述べ、漢字、かな作品を一点ずつ解説しました。

 

井茂圭洞先生(かな)の作品は「20年ぐらい前から現在のように大胆で鋭い、余白が特筆して美しい作品に変わられた」と振り返りました。梅原清山先生の大字作品は「篆書で骨格を培った迫力(ある字)をお持ちで、途中から北魏の荒々しい楷書に魅力を感じて字典(『北魏楷書字典』)まで編纂された。ここ10年ぐらいは楷書一本で書かれているが、表現方法として一時代を画するものだと思う」と述べました。

樽本樹邨先生の作品は「北魏の龍門造像記一本で押し出した力強い作品。左上の空いた空間は、まさしく龍門石窟の仏像や造像記をほうふつとさせる。のびやかさと緊張感を持ち、一字一字ゆるぎのない書風」と説明しました。

 

 

 

 自分が専門とする篆刻について、和中先生は「中学の頃から篆刻をやっていますが、書も篆刻も同じで『篆刻は簡単です』とは言えない。中国では『詩書画篆刻一致』、文人というものは詩・書・画・篆刻のすべてに精通しないと一人前ではないと言われ、篆刻もやる先生方が結構多い。やはり突き詰めていくと書にはない篆刻の面白さがあります」と指摘。「篆刻は空間の美しさ、造形の強さは作る人によってまさに『千変万化』の世界で、表現方法の違いを見ていただければ嬉しい」と述べました。

また、「かつては東京の小林斗盦(とあん)先生、関西では梅舒適(ばい・じょてき)先生という二人の大家がいらして、『東の小林、西の梅』と東西の篆刻の違いが強調されて今に続いていますが、実はそうではありません。小林先生、梅先生が亡くなられて10年ぐらい経ちますが、関東と関西でここ67年ぐらい前からお互いの会員を呼んで大きな勉強会を開いています。関西の篆刻は情緒的であるとか、趣味的であるという言われ方をしたこともありますが、志向するところは古典を中心として篆刻を表現していくことであり、関東・関西の篆刻が違うというかつての幻影はなくなりつつあると思います」と篆刻界について説明しました。

 

読売大賞・準大賞の作品も解説。読売大賞に選ばれた岩井笙韻先生の「荘子語」(流光其聲蟄蟲始作吾驚之以雷霆)は「最初から最後まで力の限りを尽くして書かれたというような、他を圧する迫力を感じます」と作品に横溢する気迫を挙げ、「中国の春秋戦国時代の篆書は地域によって文字が違い、同じ篆書でも南の方では違う形の文字が使われる。馬という文字もそうです」と説明。「馬の字を、目玉みたいな形の下に二本線を書くのは斉や魯──今の山東省あたりの国で使われた文字です。(この作品で)驚という字の『馬』は、秦などの地域で使われた形。きれいに一つの地域、のちに秦の始皇帝が制定する篆書に沿って書かれている点にも、普段からの勉強が出ています」と述べました。

 

 

読売準大賞の黒田玉洲先生の篆刻作品を解説

また、読売準大賞の篆刻作品である黒田玉洲先生の「絶岸頽峰」(孫過庭「書譜」)について、「春秋戦国時代の古璽には官璽(官職印)と私璽(私印)がありますが、この字は官璽でよく使われるスタイル。古典主義に基づく迫力のある字です。白文ですが、白い文字が浮き立って出てくるような面白さがある」と評しました。

さらに「古代の『絶』という字は、今の糸へんの文字とは全然違う。『峰』という字も、山へんのない、『ホウ』という音(おん)でつながっていく字。今の文字と構造が違っているのも面白いところです」と篆刻の見どころを解説しました。

 

 

和中先生は「篆刻をやっていると、印が粗末に押されている作品にはどうも少し点が辛くなる。やはりきれいに、きちんと押してほしいし、作品の大きさに合った印を押していただきたい。どれがどうとは言いにくいところで、その辺はお察しいただければ・・」と笑わせ、「(作品の最後に筆で)雅号を書いて、雅号の印を押すというのも、本当はあまり知恵がない。風雅な世界に遊ぶということも認識して、雅号だけでなく、本名や自分の書斎の名前、どこで生まれたとかどこに住んでいるとか、いろいろなものが印に使えます。作品に合わせて使い分けていただければ」とアドバイスしました。

 

最後に、求めに応じて自作を解説。「西周の中~晩期の文字を使うことにこだわって作りました。地域によっては使われていない文字もあるし、たとえば第一字目に刻った『属』という字は、地域によっては部分的にごそっと省いてしまう所もある。地域で使われていた文字を隈なく押さえ、作品を作り上げるのは大変な作業です」と制作の苦心を語りました。

 

和中簡堂先生の作品

 

(東京展ギャラリートークのリポートは、読売新聞東京本社事業局専門委員の高野清見が担当しました)

 

 

 

2019年9月15日(日)11:00

関西展_開幕

9月11日、「第36回読売書法展」の「関西展」が開幕しました。

今年も、京都市勧業館「みやこめっせ」1会場のみの開催ですのでご注意ください。

15日までの開催です。

 

初日から多くの来場者で賑わう関西展会場

2019年9月11日(水)12:03

静嘉堂文庫美術館で「入門 墨の美術」展を開催中

静嘉堂文庫美術館(東京・世田谷区)で「入門 墨の美術 ─ 古写経・古筆・水墨画 ─」展が10月14日まで開かれています。同館が所蔵する名品の中から約30点を選び出して展観。併せて中国・清代の古墨「九貢」「龍香御墨」「玄海效珍」や印材も紹介しています。

 

「華手経 巻第四」(五月一日経) 天平10年(738年)

 

「華手経 巻第四」の願文(天平12年5月1日付)

 

古写経は「大般若波羅蜜多経 巻第二四五」(和銅五年長屋王願経)、光明皇后が父・藤原不比等と母・県犬養三千代(あがたのいぬかいのみちよ)の追善供養に発願した一切経「華手経 巻第四」(五月一日経)などを展示。古筆は「高野切」第三種の断簡(「古今和歌集」巻第十八・雑歌下 歌番号982 「わかいほは みわのやまもと こひしくは とふらひきませ すきたてるかと」)、国宝「倭漢朗詠抄 太田切」(下軸)、「寸松庵色紙」(「古今和歌集」巻第五・秋歌下 歌番号280 貫之「さきそめし やとしかはれは きくの花 いろさへにこそ うつろひにけれ」)、重要文化財「是則集」などが鑑賞できます。

 

「古今和歌集 高野切」 平安時代(11世紀)

 

国宝「倭漢朗詠抄  太田切」(下軸) 平安時代(11世紀)

 

重要文化財「是則集」 平安時代(12世紀)

 

水墨画は重要文化財「寒山図」(中国・元時代 13~14世紀)、重要文化財「聴松軒図」「万里橋図」(いずれも室町時代・15世紀)、重要文化財の伝周文「四季山水図屏風」(室町時代・15世紀)、雪村周継「柳鷺図」(室町時代・16世紀)、西湖図屏風など。

重要文化財「寒山図」 中国・元時代(13~14世紀)

 

内覧会で河野元昭館長は「書も画も同じ墨を使うのは東洋だけの特質だった。東洋の『書画一致』思想の根底には、墨というマテリアル(素材)の問題があったのではないかと私は見ています」と述べました。担当の浦木賢治学芸員は展示構成について「日本美術の王道と言える奈良時代の古写経、平安~鎌倉の古筆、室町時代の水墨画を、ほぼ日本で描かれたものに限定して紹介した」と説明しました。

 

ロビーに展示された「白水晶凍(寿山石) 山水図刻(薄意)」 篆刻:馮康侯 中国・清時代(17~19世紀)などの印材

 

2019年9月11日(水)11:50

東京展ギャラリートーク⑪ 吉澤鐵之先生

吉澤鐵之先生(漢字) 8月31日、国立新美術館

執行役員以上の先生方の作品を中心に解説されました。

 

 

吉澤先生は真っ先に古谷蒼韻先生の遺作の遺作「飲中八仙歌」(杜甫)を紹介。「古谷先生はこの詩がお好きで、何回も書いている。すべて暗記しているから、筆の動きも自在。内容を理解して書くことが大事だという良いお手本です」と述べました。

 

有名な一節「李白一斗詩百篇」(李白は酒を一斗飲むとたちまち百編の詩を作った)以下を音読すると、「古谷先生は興に乗って書かれていて、時には一行に大きい字を一字だけ書いている。最後は字が(紙幅に)入らなくなって小さい字になっているが、それが落款みたいな景色になっているかもしれません」と、古谷先生の筆遣いを追いながら解説。「傑作だと思います」と感嘆しました。

 

97歳の梅原清山先生の「瑞気集門」は「素晴らしい気がこの読売展にいっぱい集まってくるように、というおめでたい文句を書かれている」と述べました。

吉澤先生は「作品は(会場で配布する)鑑賞ガイドでご本人がどういう気持ちで書いたかを知って見るだけでなく、ご本人が何歳で、どこに住んでいらして、どんな性格の先生で──ということが分かると、『なるほど、だからこういう作品なのか』と思う。『書は人なり』と言いますが、興味があったらぜひ先生について知る努力をしてみてください」と語りました。

 

漢字、かな作品を一つずつ説明したあと、最後に自作「精忠」を解説。「とても忠義心が強いという言葉です。去年の大河ドラマ『西郷どん』を楽しみながら拝見したが、人々から求められて西南戦争を起こし、死んでしまったのが残念だった。悠々と釣りでもして過ごさせてあげたかったと思い、自然にこの詩ができた」と七言絶句を読み上げました。

 

維新亂世盡精忠 無血開城千載功 可惜西南戦争事 兆民不許一閑翁

 

「西郷さんの精忠に感動して書いたので、真っ正直な字になってしまいました。でも、詩の意味が分かれば、ふざけては書けないことが分かるでしょう?」とユーモラスに語りました。

古い屏風を剥がした紙に作品を書く吉澤先生は、「この詩文に金屏風は合わないと思いましたが、銀屏風はなかなか手に入らなくて貴重なんです。四曲屏風を見つけたので、それを剥がして書きました。まずまず狙い通りになったかなと思っています」と制作の舞台裏を明かしました。

 

吉澤先生は「私は自分で詩を作って、紙を探してきて、判まで彫る。表具以外は全部自前でやる作家です」と述べ、「今後とも(今回は)何を書いたのかな? という目で見ていただければ」とトークを締めくくりました。

 

 

 

 

2019年9月11日(水)11:40