読売書法会会長 村岡彰敏
生活文化に根差した書

 昨年12月、伝統的酒造りがユネスコ無形文化遺産に登録されました。政府は次の候補に「書道」を提案しており、来年の審議に期待がふくらみます。近年は書道人口の減少に加えて、デジタル機器の普及で手書きの機会が減ったとの指摘もあります。このような時こそ、書の魅力を国内外に発信することが大切です。


 4月から始まる「2025年大阪・関西万博」には、国内外から多くの方が訪れます。5月7日から11日までは会場内でイベント「未来へつなぐ日本の書 ~空・海・時を超えて~」が開かれます。読売書法会最高幹部をはじめ日本を代表する書家の作品展示や席上揮毫など、多彩な映像や最新技術を駆使した多くのプログラムが予定されています。書の魅力を体感できるまたとない機会になるでしょう。


 書は生活文化に根差したもので、発表の場は身近なところにもあります。筆文字で書かれた文書に接する機会は減りましたが、手書きの"作品"を受け取るのはうれしいものです。一枚の葉書に触発されて書道に取り組み始めたケースもあると聞きます。書に携わる人は誰もが書道文化の担い手であり、その魅力を伝える伝道師です。皆様一人一人が自然体で、書道の奥深さをアピールしていくことが、優れた伝統文化である書道の普及・振興につながるものと考えております。皆様の活動に期待するとともに、今年の読売書法展でも"本格の輝き"にふさわしい多くの作品を目にできますことを楽しみにしております。


2025年4月

読売書法会会長 村岡彰敏

読売書法会会長
村岡彰敏