新井光風先生 4年ぶりの個展はじまる 

日展理事で読売書法会常任総務を務める新井光風先生(80)の個展「八十歳 命のかたち 新井光風作品展II」(読売新聞社など後援)が4日、東京銀座画廊・ 美術館(東京都中央区銀座2丁目)で始まりました。  新井先生は昭和の大書家・西川寧に学び、1966年に日展に初入選し、その後、 72年、78年に同特選、2000年に同文部大臣賞を受賞。04年には日本芸術院賞を 受けるなど、日本の書壇を代表する漢字作家として活躍を続けておられます。

 

4年ぶり2回目となる今回の個展では、老子、荘子の語句を主題・題材にした 新作38点(額数113点)が展示されています。

「前回の展覧会を開いた際、やりたいこと、やらなければならないことが次々に 頭に浮かんできて、閉幕直後にこの展覧会を開くことを決めました。その年(2013年)の末までに、選文を行い、展示構成も決め、作品はその後、2年半で書いたもの です。昨年夏には仕上がりました」。

 

老子、荘子の語句には「深層に内在する奥義とその言葉の響きの重さに度々 感銘を受けていた」とのことで、作品にもその思いが反映されているようです。

 

さらに、「現代における造形性と精神性の調和を探求」される新井先生は、古代人にとっては意思や情報の伝達手段だった文字を、現代の芸術として書くため に、表面的な新しさなど「みせかけの現代」ではなく、より深い次元の現代性を 自らに問いながら取り組まれました。

 

3年以上前に既に構想が固まっていたというこの展覧会ですが、作品を書く順序は「一作、一作、新鮮な気持ちで臨まなくてはなりません。頭を真っ白 にするためも、次に何を書くかはひとつ仕上げるごとに考えました。結果的にはサ イズの異なる作品を選んでいたようです」と振り返り、さらに「書いている間はただ夢中で書いていました。楽しみながら書くとかそんな余裕はありません。書の怖さを知っていますから」と、「書の世界の深奥を切り開く」心構えを説明されました。

 

入場無料。4月9日まで。午前10時から午後6時まで。ただし最終日の9日は午後5時閉場です。

2017年4月5日(水)16:07