東京展ギャラリートーク 4 寺岡棠舟先生

第34回読売書法展のギャラリートークが、1日午後、読売書法会常任理事の寺岡棠舟先生=写真 右手前=をお迎えして開かれ、寺岡先生は役員の先生方の作品と大賞、準大賞の作品について、約1時間にわたって解説されました。

 

まず、仮名の成り立ちや学び方の基本を概説された後、師の桑田笹舟先生の「2本の手がある。1本は覚える手、2本目は作り出す手」という言葉を引用して臨書の心得を、「紙は書家の家である」という言葉で紙選びの重要性を説かれました。また「(書を師に見せる時は)31枚目くらいから見せるように」と言われたことに触れ、30枚程度書いてようやく人に見てもらえる水準に至るものである、という教えを紹介。最初に上手く書けなくても何枚も書いていく必要を述べられました。日展や読売書法展のためには「1000枚程度は書くつもりで臨んでいます」とのお話でした。

 

最高幹部の作品の部屋では、緩急、大小、白の使い方、紙の選び方などに触れながら、それが結実して生まれた線の味わい、気品、スケール感などを解説。

続いて大賞・準大賞のコーナーに回り、大賞受賞の折川司さんの作品について、「見せ字」となる「霊」に「魂をぶつけたような情感が感じられる」との印象を語られました。

準大賞の岩井秀樹さんの巻子作品は、半世紀に及ぶ書作を通して岩井さんが吸収、消化された古筆の様々な要素が生かされていることを指摘した上で、余白の使い方の絶妙さ、茶系の下ぼかしの紙にも目を向け、ちらしで表現された近代的、都会的な作品、と評されました。

同じく準大賞の川合広太郎さんの作品については、京都風の格調の高さと、「あしびき」という見せ場を最後に置いた構成の力に言及されました。

2017年9月2日(土)18:23