作品解説会を開催中

第35回読売書法展の東京展では、上野の東京都美術館、六本木の国立新美術館の2会場で、それぞれ作品解説会(ギャラリートーク)が開かれています。

 

師田久子先生 8月24日、東京都美術館

 

師田久子先生(かな)が読売準大賞、読売新聞社賞のかな作品について見どころを解説されました。

 

会場に集まった方は9割が女性。師田先生ご自身の経験も交えた具体的で細やかな説明に、メモを取りながら熱心に聴き入っていました。

 

師田先生が特に語られたのは、余白や墨量のバランスの取り方、リズムによって「どこに山場(見どころ)を作るか」という点でした。同じ余白でも、作り方は社中によって違いがあり、作者がそれを踏まえつつ工夫を重ねていることを指摘されました。

 

また、墨の濃淡、渇筆によって作品に立体感が出ることも、受賞作品に即して示されました。墨量については、「大きい字の場合は墨量がないとさびしく見えてしまいます。自宅で書いた時は墨をいっぱい使ったと思っても、会場で見ると少なく感じることがあります。狭い場所で見ていると、会場に展示した時の効果がよく分からず、墨量を少なくしてしまう」とアドバイスをされていました。

 

同じ系統の古筆に学んだ作品でも、料紙や墨、筆の違いによって雰囲気がずいぶん変わることも紹介。料紙の種類に応じた筆遣いや、表具による展示効果にも話題が及びました。師田先生は「私がかなを始めた頃と違い、今はいろいろな紙があります。紙屋さんに行って自分の好きな料紙を探してくるのも、かなを書く楽しみの一つ」と語られました。

 

最後は「まず古筆を学び、真似から始めて自分らしい字が書けるようにめざしてください。そして習うだけでなく、ぜひ自分でも人に教えてください。人に教えると、自分にも勉強になるから上手になりますよ。そしてお弟子さんの1人でも2人でも読売書法展に出しましょうよ」と呼びかけ、トークを締めくくられました。

 

作品解説会(ギャラリートーク)

国立新美術館(1A展示室)

※特別展示「読める書への挑戦」出品作品の解説

8月24日(金)漢字:有岡ᤸ崖(常任理事) ※ᤸ=「夋」に「阝」

8月26日(日)漢字:牛窪梧十(常任理事)

8月27日(月)かな:高木厚人(常任理事)

8月30日(木)漢字:大澤城山(常任理事)

8月31日(金)かな:岩井秀樹(常任理事)

9月1日(土) 漢字:吉澤鐵之(常任理事)

9月2日(日) 漢字:角元正燦(常任理事)

各日午後2時~3時

 

東京都美術館(ロビー階第1公募展示室)

※35回展特別賞受賞作品の解説

(今回に限り、読売大賞・準大賞・新聞社賞・俊英賞・奨励賞が第2会場に陳列されます)

8月24日(金)かな:師田久子(常任理事)

8月26日(日)篆刻:和中簡堂(常任理事)

8月27日(月)漢字:吉澤大淳(常任理事)

8月28日(火)漢字:市澤静山(常任理事)

8月29日(水)漢字:日賀野琢(常任理事)

各日午前11時~12時

2018年8月28日(火)08:36