銀座・和光で「書業六十五年記念 井茂圭洞展」始まる

 

井茂圭洞先生の書業65年を記念する個展が104日、東京・銀座の和光ホールで始まりました。1014日まで開かれています(最終日は午後5時まで)。1階のウィンドーには開幕前から留袖に揮毫した作品の写真が飾られ、多くの人が足を止める姿が見られました。

東京での個展開催は今回が初めて。個展の開催そのものも先生が作品60件を神戸市に寄贈された翌年の2016年、「受贈記念展 井茂圭洞の書」が神戸市立博物館で開かれて以来となります。

 

 

井茂先生は当サイトの連載企画「わが古典」のインタビューでも語られている通り、1954年に地元の兵庫県立兵庫高校の書道部で深山龍洞先生に師事されました。

それから65年を数えるのを記念する今回の個展には、屏風5点をはじめ軸装、額装など45点を出品(旧作2点を含む)。万葉集や良寛、若山牧水などの和歌を題材にしたかな作品が並んでいます。

 

 

 中には、上智大学の学長を務めたヘルマン・ホイベルス神父の言葉「病者の祈り」を調和体で書いた作品も。夫人がご子息の学校の「母の会」でもらってきた印刷物で目にした文章で、「いつか書こうと思って何十年もしまっておいたもの。新聞の切り抜きでも個人の言葉でも、いつか書きたいと思うものに出くわすと溜めておきます」とのことでした。

 

井茂先生は個展カタログに寄せた一文で「書の古典だけでなく様々な分野の芸術と、自然世界が渾然一体となった境地を制作の源泉としておりますが、そこで一番大切なのは、書線が心臓の鼓動の軌跡であり、呼吸の形象化であるということに思い至りました」と述べ、「にもかかわらず、書制作の核となる創造魂を目に見える形に表現することに依然として四苦八苦しております」と書芸術を究めようとする作家の思いを吐露されています。

 

 

書業六十五年記念 井茂圭洞展

2019年10月4日(金) ~14日(月) 10:30~19:00 ※最終日は17:00まで

東京・銀座 和光本館6階 和光ホール

6日(日)、12日(土)いずれも14:00から、井茂先生によるギャラリートークを予定

 

 

 

 

2019年10月4日(金)12:09