関連書道展
「文徴明とその時代」展 東京国立博物館と台東区立書道博物館 3月1日まで
中国・明時代の「四大家」に数えられる文徴明(1470~1559年)の書画を、歴代の大家や同時代に活躍した文人たちの作品、文徴明の影響を受けた中国や江戸時代の日本の書家・文人の作品とともに紹介する「文徴明とその時代」展が、東京国立博物館と台東区立書道博物館で共同開催されています。日本国内に収蔵される文徴明の作品のほぼすべてにあたる23点を含め、東京国立博物館では計68件、台東区立書道博物館では計65件を展示(会期中、展示替えあり)。2003年に始まった両館の地域連携企画の第17弾となる展覧会です。
文徴明を堪能
文徴明は明の呉派文人画の代表的存在。小楷(細字の楷書)は特に知られています。晩年まで衰えを見せることなく、呉派とよばれる文人画の隆盛をもたらしました。
行書にもすぐれ、ニュアンス豊かな線により書の可能性を拡大した宋の大家・黄庭堅(こうていけん)を思わせる作品も描いています。
「文人」は、学問に優れ徳の高い人、芸術的な風雅さを備えた人で、科挙に合格した高級官僚・知識階級に対して用いられることが多いようです。文徴明自身は科挙を何度も受けながらついに合格を果たせませんでしたが、高級官僚の父のもとで、さまざまな書画、文献に囲まれて育ち、教養豊かな「文人」として、明時代に経済的な発展を遂げた江南・蘇州の文化界の代表的存在となりました。
書画史上の大家たち
文徴明に影響を与えた南宋の皇帝・高宗や元の高級官僚で書の大家でもあった超孟頫(ちょうもうふ)、文徴明とほぼ同時代に活躍した文人の祝允明(しゅくいんめい)、文徴明の影響を受けた後代の書家、画家の作品も並んでいます。
日本への影響
文徴明らの明の書画は、江戸時代の日本にも影響を及ぼし、儒者、町人を中心に「唐様の書」が広がりました。日本の文人、与謝蕪村も文徴明の書画に学んでいます。
17年にわたる両館の連携企画は、時代や書家に焦点を当てて中国の書を連綿と丁寧に紹介してきました。文徴明の国内作品をほとんど集めた今回の企画は、文徴明の芸術を味わえる機会であるばかりでなく、中国書画史を俯瞰するシリーズの重要な一部でもあります。
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生誕550年記念 文徴明とその時代
2020年1月2日(木)~3月1日(日) 東京国立博物館
2020年1月4日(土)~3月1日(日)台東区立書道博物館
2020年2月20日(木)08:04