理事・松村博峰先生

4月半ばに、疫病退散を祈願して、4日間の準備を経て、高さ3m50cmの大般若心経を、北斉の摩崖刻経の楷隷体風に書きました。

 

その後、Facebook、Instagramと、中国のSNS「微信」に発信したところ、北京の友人を介して山西省の美術館から、この大般若心経を美術館の仏堂ホールに常設収蔵させて欲しいとの連絡が入りました。

 

そこで、地元・和歌山の紀三井寺で祈祷を頂いてから中国に届けようと準備を考えていた折しも、この作品をテーマに、和歌山市中心部の飲食街・アロチの活性化委員会の方々から、「コロナで人の途絶えた街に息吹が欲しいので、書で力を与えて欲しい」とのお話しが来ました。コロナへの恐怖に煽られて、前に進めない方が多い実情を憂えていた矢先。むしろ、今 私たちがここに在る「一期一会」の精神を大切に、前向きな気持ちを保ち続けて頂きたい。そんな一心で「観自在」を短冊の冒頭に楷・行・草・篆・隷の五体と、篆刻と併せて6種、提供させて頂きました。

 

「観自在」は般若心経を包括する象徴的な言葉です。あるがまま、観(おも)うがまま、観ずるがままに現状を受け容れ、やすらえる世界を皆んなで築いて欲しい。様々な観(おも)いが、このアロチの柳通りから和歌山の為に発信されることを切に願っております。

 

 

2020年9月14日(月)15:00