作品

公募・漢字

栗林彩香
『張猛龍碑』

講評:勢いの良い痛快な線条に魅力

 一昨年より1,000点を超えた高校生出品は、今回展で、更に168点増え、計1,396点となりました。


 美術界全体に共通することですが、公募展への出品数は減少傾向にあります。読売書法展では、その傾向とは反対に高校生による出品が増加しており、書道文化の明るい未来を想像するところです。今年の12月に日本の書道がユネスコ無形文化遺産に登録される見込みですが、これが書道文化の更なる発展の後押しとなり、また高校生等、若い世代の書道の普及に繋がることを心より祈っております。


 さて、今回展で高校生の作品を通観し、臨書作品が非常に充実していたことが目に止まりました。やはり「本格の書」を目指すには、古典の技法・表現から学ぶことが第一となりますから、若いうちから大きな紙に臨書をするということはとても重要なことになろうかと思います。非常に練度の高い臨書作品が多く、また書体も様々で驚かされました。調和体の作品は多くはありませんでしたが、古典・古筆の香りのする調和体作品へのチャレンジにも期待したいところです。


 今回、「高校生この1点」に選んだ栗林彩香さんの作品は、北魏の「張猛龍碑」の臨書作品で、原碑の峻厳な字画を巧く表現し、勢いの良い痛快な線条に魅力がある作品です。とても高校生の作品とは思えないほど素晴らしい作品だと感じました。これほど熟練した作品を作るまでに、どれほどの修練があったのか、栗林さんはもちろんのこと、指導者の優れた指導があったからこそ完成した作品となったのでしょう。感服致します。


 高校生の皆さんが今後も書道を楽しんで学び、これからの書道文化を牽引してくれることを期待しております。

第42回読売書法展 東京展実行委員長

読売書法会常任理事

井上清雅