特別企画 「高校生」この1点
宮永紅燁

漢字部門・入選(中部展)
宮永紅燁
「袁黄詩 送陸五臺之任」
講評:古典の習練に基づいた快作
読売書法展では、近年若手出品者、特に高校生出品者の増加を目指している。
41回展の高校生出品は、1,228点だった。昨年と比べ200点増加し、その成果は着実に実っている。中部地区からの高校生入選作品は36点で、その内訳は、漢字12点、篆刻16点、漢字系調和体3点、かな系調和体5点だった。
中部展は、愛知県美術館ギャラリーが3年ごとに開かれる国際芸術祭「あいち2025」と重なったため、ウインクあいちのみの展示で、11月に開催となった。かなり窮屈な展示となってしまったが、来年は通常通り9月に、愛知県美術館ギャラリーとの2会場で開催する。
さて、今回の中部展の高校生作品では、宮永紅燁さんの行草作品「袁黄詩 送陸五臺之任」が、ひときわ目立つ存在だった。重厚な筆意を用いて、文字の大小、強弱、緩急、潤滑も極めて配慮がなされ、高校生作品と思えぬ熟練した風格を備えた作品だった。読売書法会の基本理念である「本格の輝き」を象徴する作、つまり古典の習練に基づいた快作と感心した。さらなる精進を重ねられ、将来の書道界のエースとして活躍されることを期待する。また、今回、特に篆刻作品も多く出品してもらった。指導する先生に感謝したい。
第41回読売書法展 中部展実行委員長
読売書法会常任理事
鬼頭翔雲

