篆刻部門・入選(北海道展)

渡辺青空
「放情物外」

講評:高校生らしい勢いのある作品

北海道道南の高校生の篆刻への関心は高く、毎回複数人の入選者を輩出している。朱文、白文を問わず、積極的に作品制作に取り組んでいる。今回紹介する作品は、四文字すべてが偏と(つくり)の構成だが、それぞれの幅を上手く変化させてリズム感を出している。朱白のバランスも良い。特に右下の撃辺(*)を大胆に行った結果、その大きく欠けたところが、左の「外」の朱の部分と呼応している。高校生らしい勢いのある、良い作品である。高校生の持つ感性溢れる作品を今後も期待する。


  • * 印面のふちにわざと傷をつけて、古風で味わい深い趣を出すための加工技法

第41回読売書法展 北海道展実行委員長

読売書法会理事

加藤正叙