作品

漢字部門・入選(九州展)

梅野潮陽 『宿竜興寺』

講評:迷いなく挑戦する若さあふれる書

 第40回展で高校生出品が初めて1000点を越えました。若い息吹の感じられる書法展としては、大変喜ばしいことだと思います。一般公募と区別せず審査したので、入選することは相当に難しいことです。


 九州展では、41点もの高校生作品を展示しました。この中で一際目を引いた作品は、梅野潮陽さんの漢字作品。これは、2尺×8尺の横形式で9行の草書作品です。王羲之を基調とし、リズミカルな運筆からは王鐸の学習がうかがえます。


 また、感心させられたのは行の流れの確かさと行間の美しさです。横形式作品の面白さは行間の表現にあると思いますが、裏返せば非常に難しい点といえます。迷いなく一気呵成に書いた清らかな作品で行間の響き合いも作為がなく自然で心が洗われる思いがしました。


 若い人達には無限の力があります。今後更に精進し、若い感覚でまた新しい世界を作ってほしいものです。

第40回読売書法展 九州展実行委員長

読売書法会常任理事

野田正行