作品

かな部門・入選(四国展)

西森好香 『新古今和歌集より』

講評:線条鮮やかな快作

 次の時代を担う若い人たちが、「古典」と呼ばれる文字史料や能書家の書を学ぶ姿勢は、伝統ある書道文化の継承に明るい光を感じさせます。


 四国展では9点の高校生作品を展示しました。連綿を駆使した漢字の行草書、静かな佇まいを見せる調和体など、豊かな表現が見られる中で、紹介するのは冴えた線条が鮮やかな西森好香さんの作品です。題材とした和歌に詠まれる「清らかに吹く松風」を想起させるように、緩急ある送筆と墨量の変化が、爽やかで清澄なリズムを奏でています。料紙との調和にも配慮がうかがえ、大きな文字を使ったかな作品の醍醐味が表出した快作と言えるでしょう。


 今後も「本格の輝き」に新風を吹き込む書表現に期待したいと思います。

第40回読売書法展 四国展実行委員長

読売書法会常任理事

森上洋光