今道渉太「心静日」

漢字部門・入選(九州展)

今道渉太

「心静日」

講評

 この作品は、明末清初の王鐸の作風を消化、アレンジした秀作です。しっかりとした古典の臨書による基本を身につけ、運腕自在の筆捌きです。文字の結体(けったい)*の妙、潤滑の変化、行間の処理、余白の響き合いの絶妙さなど作者の非凡なる才が伺えます。特にその線質は、強くゆるぎない線でありながら柔らかく暖か味があり、遅筆で書かれたその線に人を引きつける魅力があります。


 今後更なる成長を期待したいです。

書を学ぶ若い世代へのメッセージ

 スポーツの世界では、早くから若い世代の参加が認められ、今やその主流は殆どが若年層に移っています。日本の伝統文化である「書」の担い手として、高校生の若い息吹を加えていってほしいものです。そしてその計り知れない資質で、新しい書の世界を造り上げて行って下さい。

第38回読売書法展 九州展実行委員長

読売書法会常任理事

野田 正行

結体(けったい)…点画の組み立てによってできる文字の形