川野嘉斗「米芾蜀素帖」

調和体部門・入選(四国展)

川野嘉斗

「米芾蜀素帖」

講評

 四国展に展示されたこの作品は、中国宋時代の名筆、米芾(べいふつ)の「蜀素帖(しょくそじょう)」(1088年)を書き下し文で表現した調和体の書です。米芾の巧みで華やかな行書に、小ぶりながらも墨の充実した平仮名が相まって、横に自然と展開する落ち着いた構成です。漢字の大きさの変化も行間に心地よく響くアクセントとなっています。

書を学ぶ若い世代へのメッセージ

 本格の書への取り組みでは、古典と呼ばれる歴史上の文字史料や名筆を重視した学びが大切です。一度経験した古典でも、時間をおいて振り返ると、また新たな発見があります。この積み重ねを心がけ、表現の幅と厚みを増してもらいたいと思います。

 

第38回読売書法展 四国展実行委員長

読売書法会常任理事

森上 洋光