橋本晴輝「臨張猛龍碑」

講評

　熱心さがひしひしと伝わってくる。筆を執り、紙に向かう真摯な姿勢が見られる。高校生らしく新しい未来への希望である。書の技法も楽しくマスターしつつある。特に蔵鋒(ぞうほう)*の使い方が上手く、紙面へのくい込みがあり、それが線の深さに繋がり臨書作品の完成度を高めている。もう一つは、文字造型の捉え方の良さである。間架(かんか)結構(けっこう)*の取り方は難しいが、それを巧みに表現することは、生来のセンスであろう。今後が楽しみである。

書を学ぶ若い世代へのメッセージ

　高校一年生からの出品が認められた記念の年である。高校の教科書には、私の時代と違い、豊富な資料と内容が盛り込まれている。古典の臨書は、特に若い世代から、先人の臨書作品を観て、原帖と比べ感じるところをしっかりと学ぶべきである。

　書道文化の伝承は今、あなた方にある。文房四宝(ぶんぼうしほう)*などの知識などこれから学ぶ事は沢山ある。五感を持ちつつ、書道にも身を置くことを期待する。調和体の分野は、表現の自由さもあり、楽しく書いていける。言葉、文章の選定から始まり、現代の感覚を持って書けるおもしろさを知ってほしい。

 

※蔵鋒(ぞうほう)…筆の穂先が点画の端に露見しないように書くこと

※間架(かんか)結構(けっこう)…点画の組み立て方

※文房四宝(ぶんぼうしほう)…筆・墨・硯・紙