山下貴大「朝びらき」

かな部門・入選(関西展)

山下貴大

「朝びらき」

講評

 読売書法展は、本年より出品規定が改定され、満15歳から出品可能になった。その結果、高校生にも出品の門戸が開かれる事になり、620点の応募があった。関西展で見事入選を果たした作品の中で特に印象に残ったものを取り上げる。


 この作は、爽やかな、清澄感溢れる明るい雰囲気の作品である。運筆のリズム感が心地良く、確かな字姿と、連綿(れんめん)*による縦への自然な流れが素晴らしい。又、文字の大小、潤渇の変化等による行間処理、余白の響き合いが絶妙である。特に、作品に対し正面から真摯に取り組まれている姿には好感が持てる。更なる成長が楽しみである。

書を学ぶ若い世代へのメッセージ

 書を始めるきっかけは様々であろう。「書くことが好き」であると言うのが一番の理由ではないだろうか。「好きこそ物の上手なり」、好きだから続けられるのである。


 書は実に魅力ある、日本の伝統的な文化である。書の文化の担い手として、高校生の若い皆さんに是非加わって頂きたいと強く思う。今回の読売書法展への出品は、その最初の出会いであり、これからも多くの高校生に参加をして頂く事が、書道文化の今後に大いに望みを託す事に繋がっていくと思う。多くの若者の瑞々しい感性に期待する処大きいのである。新しい風を吹き込んでもらいたい。

第38回読売書法展 関西展実行委員長

読売書法会常任理事

森嶋 隆鳳

連綿(れんめん)…二文字以上文字を続けて書くこと