読売書法会会長 老川祥一
高校生の出品、喜ばしい—今こそ裾野を広げる取り組みを

 読売書法展は第39回展を迎えることになりました。いまだ新型コロナウイルスは収束せず、通常の書作活動に戻れないまま4度目の春が過ぎようとしていますが、明るいきざしもみえています。


 昨年の第38回展では意欲ある若者の出品を促すため出品年齢の制限を引き下げたところ、高校生を中心に若い世代から多くの作品が寄せられました。


 「読売書法展の裾野を広げよう」との思いから始めた取り組みでしたが、長らく続いた出品数減少に歯止めがかかる結果になりました。書道人口の減少が指摘されて久しいなかでの明るいニュースは喜ばしい限りです。これを一過性のものにしてしまってはなりません。


 高い山ほど裾野は広いものです。国内最大規模の公募展に成長した読売書法展は来年40回を迎えます。今こそしっかりと裾野を広げる真摯な取り組みが求められます。


 読売書法会はこれからも古典と伝統を大切にする「本格の輝き」の理念のもと、手書き文字の魅力の発信に努めます。今年も現代書壇最高峰の作品を多くの方にお楽しみいただける機会になればと願っております。


2023年4月

読売書法会会長 老川祥一

読売書法会会長
老川祥一