読売書法会会長 老川祥一
第35回記念展にむけて―多彩な「読める書」楽しんで

 今年は読売書法展が第35回展を迎えます。


 第1回展の開催にあたって、当時、総務部長を務められた殿村藍田先生が、「書道界の一層の繁栄のためには次代育成の組織、展覧会行政の在り方については改良すべき大きな問題がある」として、「同志集まって、理想具現の新機関設立を希望し、(中略)新たに発足したのが読売書法展である」とおっしゃっています。


 その次代育成と書道界の将来を展望して、第12回展から新設されたのが「調和体」部門でありました。「漢字」と「かな」がまじる、いわゆる現代書で、書展を、書家が鑑賞する展覧会から、一般の方にも楽しんでもらえるように門戸を開く取り組みでした。その「調和体」作品も20年を超える時を経て、昨年、一昨年の読売書法展では2年連続で「調和体作品」が読売大賞を受賞するなど、作品の趣向や表現も豊かになってまいりました。そうした書跡を振り返り、この35回の節目となる読売書法展では、読売書法会創立当時の幹部の「漢字かなまじり書」から、「調和体」設立後の各幹部作品までを一堂に展観する特別展示「読める書への挑戦」を、東京展(国立新美術館)と関西展で特別コーナーを設けて開催することとなりました。


 また、東京の国立新美術館では、例年の展示区分を少し変更して、最高幹部、執行役員の「漢字」「かな」の作品と「調和体」作品を同時に展示し、2作品を見比べながら鑑賞できるように工夫いたしました。ぜひ、会場に足を運び、現代書壇の最高峰の「本格の輝き」と古典に立脚した多彩な「読める書」の数々を研究し、楽しんでください。


 現在は、わが国がかかえる少子高齢化という構造的な人口問題に加え、スマートフォンなどのデジタル機器の驚異的な発展により、書道界と新聞界は、ともに「活字離れ」という社会現象に苦しんでいます。


 しかし、こうした時代だからこそ、第1回展の読売書法展発足の精神に立ち返り、書道界と新聞社が手を携えながら、書道界や活字文化を盛り上げていかねばなりません。この第35回展が、そうした契機となることを願っております。


2018年3月

読売書法会会長 老川祥一

読売書法会会長
老川祥一